青年部ホームページにまつわる事件
平成21、22年度副会長(広報委員長)小川頼之
昨年十月三十日、青年部ホームページをリニューアルしてからというもの、親会「Booker’s」の活動との相乗効果もあって、組合員の皆様や全国の業界関係者、そしてインターネットユーザーからは「東京都書店商業組合青年部」の活動は絶好調に見えているのではないかと思う。ホームページへのアクセス数は最近ではほぼ毎日250人(Visit)を越えているし、書店を起業したいという方からメールがあったり、九州金文会青年部から合同理事会の開催依頼が来たり、ほぼボランティアでホームページ作成に協力してくれる方(以降は仮にAさんと書かせていただく)が現れたり、果てはここに漫画を書きたいという漫画家志望の女の子が現れたりと、何やら我々の仕事に対する評価は外部では日増しに高まっている印象である。
青年部広報委員長としては冥利に尽きるが、一方でこれらの期待に応え続ける為の仕事量が多くなってきた上に、店の売上は10%以上マイナスの月が続いている。正直担当者達(俺だけかも)のテンションはあまり上がらす、ホームページを更新するのも気力を振り絞って作業しているのが現実である。
Aさんとの出会いは昨年十月、ホームページを開設した直後だった。
我々はホームページのアクセス数を増やす為、出来るだけ沢山の業界関係者のページにリンクを張っていただこうと考えた。そこで、業界関係でアクセスが多そうなブログやホームページを探し出してはメールをし、ひたすらにホームページをリンクしていただく様お願いしていた。Aさんのホームページはその作業の最中に見つけたもので、中でも秀逸な出来栄えだった。早速、私はAさんにメールをし、厚かましいとは思いながら、リンクのお願いをしてみた。するとほどなくAさんからとても丁寧なご返信をいただき、リンクも快くお引き受けいただいたのだった。
今年六月、以前親会で大見得を切ってしまった手前、今度は「東京都書店案内」に店内在庫検索機能を追加しなくてはいけなくなった。そこで思いついたのがAさんにお手伝いしていただく事だ。Aさんのホームページにはこれに必要な技術が全て使われている。我ながらずうずうしいとは思ったが、ダメもとでAさんに技術指導をしてくれないかというお願いをしてみた。するとまたしても次の様な素晴らしいお返事をいただいてしまった。
「本を検索すると在庫店舗が表示されるような試みは、とても魅力的で、ぜひうまくいってほしいと思っています。もしお役にたてるのであれば、技術指導とまではいかないまでも、微力ながら何らかの手助けができたらいいな、と思っています。」
その後赤城書店牛房邦夫会長、三弥井書店吉田敬弥副会長と共にAさんと一度だけお会いして目的のホームページのイメージなどを話し、後は何度かメールのやり取りをさせていただいた。Aさんはたったそれだけのやり取りで私達のつたない言葉を120%理解し、
何と十日で都内30店舗の在庫を一括で検索してその結果を地図上に表示させる機能と、都内の書店全店のホームページを自動生成する機能とをほぼ全部作成してしまった。いやはやすごい人がいらっしゃるものである。驚きを通り越して、人間の能力の限界について考えてしまった。「人間はここまで出来るものなのだ。」
出来上がったホームページを最初に見せてもらった時には、思わず小躍りして関係者に電話をかけまくった。何せ目的の本を在庫している書店が地図上に点滅するのだから、実際目の当たりにすると衝撃を受ける。
「何だ、小川は何もしていないのか?」と思われるのも癪なのでここで少し説明させてもらえば、さすがのAさんと言えども業界外の方だ。店内在庫の検索は書店の地図とは別メニューになっていて、インターネット上で在庫検索出来ない店はそこにはまるで存在しないかの様になっている。さすがの私でもこのままでは使えないと解ったので私が「東京都書店案内」にAさんの作った部品をつなぎ合わせて在庫検索機能を付け加える事にして、現在も私が完成に向けて作業中である。
この様にして開発中の「在庫検索付東京都書店案内」は現在青年部内で最終公開仕様を討議中である。組合員の皆様もぜひ一度青年部理事会にお越しいただき、実物をご覧いただきながらどういう風に公開するのがより多くの人の利益になるかをご一緒にご討議いただきたい。
昨年も「東京書店人」にホームページ作成記を寄稿させていただいたが、青年部ホームページを開設してからと言うもの、次から次へと事件が起こり毎回ネタには困らない。しかもそれぞれのネタが相当興味深いものばかりだ。なぜこうも事件が続くのか?
自分でいうのははばったいが私はこれが「業界の正しい未来に向かっているから」だと確信している。最後にもう一度Aさんにこの仕事を依頼した時の返事の言葉をお借りしてこの稿を終ろう。
「本を検索すると在庫店舗が表示されるような試みは、とても魅力的で、ぜひうまくいってほしいと思っています。もしお役にたてるのであれば、技術指導とまではいかないまでも、微力ながら何らかの手助けができたらいいな、と思っています。」
(本原稿は2010年1月発行の東京都書店商業組合会報「東京書店人」原稿をそのまま転載したものです。)